音楽を聴いていると、ともするとメロディーやハーモニーのみに耳を奪われがちになります。
しかし、実はメロディーやハーモニーが美しく響くためにはそれらを支える正確なリズムが必要です。
実際、あまり注意をしないで、演奏されている曲をただ聴いているだけですと、メロディーやハーモニーの陰に隠れてリズムはあまり目立たず、そのためにその重要性や音楽的な素晴らしさが解らずに通り過ぎてしまうことが案外多いのです。
しかし素晴らしい演奏は正確なリズムがあってこそということに気ずかされます。
正確なリズムがあってこそ、演奏の価値が高められているのです。
多くの楽器の中でリズムを担当する代表格は、打楽器(パーカッション)とベースです。
今回は特に打楽器にフォーカスしてお話します。
打楽器は音階もなく、単色の音のみ出る楽器が多いので、一見簡単に思われがちです。
(どなたでもただ叩くだけでそれなりの音が出てくれるからです。)
しかし実際は、非常に正確で安定した技術が要求されます。
打楽器は一つの音を正確に出すために、左右の手の動きを正確に働かせる必要があります。
そして、長時間の曲でも正確にテンポをキープしていくという、集中力も必要とされます。
これは打楽器の演奏のために、大切な基本技術なのです。
それを身に付けるためには、反復練習という地道な努力をしていきます。
そして上手になると、たった一つの音でも「柔らかい優しい音色」や「強いメリハリのきいいた音色」
など、色々な表現の音色が出せるようになってきます。
このようにして、私達には正確なリズムの上に生きたリズムとして響いてきます。
さて、音楽教育の場で、リズムの学習は子供たちの教育や発育にとても役立つことが分かってきました。
先程述べたことを打楽器奏者は次のように言っています。「打楽器は、左右の手を同じようにきちんと均等に叩くことが、基本のトレーニングです。左右の脳の発育にとても良いと思う。」
このことは、つまり打楽器で遊ぶ習慣を持つことは、子供たちの左右の脳の発育にとてもプラスになっていると思います。また、他の楽器演奏のためにも大いに役立っているはずです。ピアノも左右の手をバランスよく使って演奏します。ギターも管楽器も両手を使います。
「リズム遊び」この言葉は誤解されてしまっているかも知れません。
打楽器を使ったこの”遊び”の中には、子どもの教育にとってとても大切な脳の発育、それとともに様々な知性の発達、運動能力の向上、また社会性や思いやりの気持ちを育てるなど、音楽がもたらす大切な学習が満ちているのです。
単なる遊びとは異なります。